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学部長メッセージ

 高校生につきたい職業を聞くと「学校の先生」という答が多い,といいます。このページを開いているあなたも,そのひとりかもしれませんね。

 先生をめざす人には,ひとりひとり様々な動機やきっかけがあるでしょう。あなたはどうですか?

 自分の学校生活の中ですばらしい先生に出会い,「私も先生になりたい」と思うようになった人も多いことと思います。高校生くらいの年齢になると,「小さい子どもの相手をするのが好きだから,それを仕事にしたい」という人もいるでしょう。また,大好きな教科があってその教科にずっと関わっていきたいという人もいそうです。あるいは,問題が解けないでいる友だちに解き方を教えてあげた経験から,「勉強を教えるのって面白い」と感じて先生をめざしている人もいるかもしれません。

 ひとりひとりの動機やきっかけは様々ですが,共通点もありそうです。おそらくは,学校生活に関わる幸福な経験がもととなって先生になろうという思いが芽生えた人が,ほとんどなのではないでしょうか。けれども,「学校生活で思い出すのは不幸な経験ばかり」という人もいます。このことは,忘れずにいたいですね。

 ところでみなさんは,小さいころから毎日のように先生の働く姿を見てきて,先生という職業をよく知っています。ただ,「よく知っている」といっても,「他の職業に比べれば」ということでしかありません。確かに,授業をする先生の姿も,生徒の相談に乗ってくれる先生の姿も,みなさんは知っています。けれどもその先に,まだ知らないこと,考えるべきことがあります。大学で,教育学部で学ぶべきことがあります。

 たとえば,授業をするために,あるいは生徒の相談に乗るために,先生はどんな努力をしているでしょうか。先生になるために大学で学ぶ必要があるのはなぜでしょうか。面白い授業とはどんな授業でしょうか。子どもにとって,どんな先生が望ましいでしょうか。あなたが出会ったすばらしい先生は,どこがすばらしかったのでしょうか。私たちは成長の過程で,学校と先生から何を得てきたでしょうか。子どもたちの学校での経験から不幸な経験を減らし幸福な経験を増やすために,あなたに何ができるでしょうか。

 これらは決まった正解のない問題です。でも,だからこそ考える価値があります。教育学部の学生として考えるべき問題であるだけでなく,卒業して先生になってからも考え続けるべき問題です。先生にならない人も,ともに考える意味のある問題です。私たち教育学部の教員も,ともに考えます。

 「ぜひとも先生になりたい」というあなたは,どんな先生として生きていきたいですか? そのために何をしますか? 「先生という仕事も考えてみようかな」というあなたはどうですか?

 群馬大学教育学部で,ともに考えましょう。

                                                 教育学部長  齋藤 周