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<資料 NO.1>


Roots of Kodokan-Judo

柔道のルーツ


  平成8年度全日本選手権プログラムより抜粋:  「講道館柔道−−−世界の友情の輪」より:講道館柔道のルーツrootsと発展 柔道のルーツは、嘉納治五郎が1882年(明治15年)5月(当時23歳)に「日本傳講道館柔道」を創始したことに発する。創始以来、嘉納師範が柔道を通して見いだそうとして来たものは、人間の育成すなわち「教育」であるといわれている。この教育とは「技能化」と「倫理化」とされている。技能化とは、ヒトが成長し、社会人となり、人生を生きていく上で、生活の糧を得る手段を身に付けることであり、倫理化とは、ものごとの善し悪しを見定めて反社会的な行動を慎んでいくことである。何れが欠けても、社会人として十分でなく、ヒトは技能と倫理とをその身に養って人間となるからである。  「技能化」の道は幾多の職種として社会に展開している。それぞれの職種に必要な専門知識・技術が要る。ここはそれぞれ各領域が担っている。  「倫理化」の方は、ものごとの善し悪しを見定め、反社会的な行動を慎んで行くことである。樹木に例えれば、世に木立を木立として拠って立たしめる根っこや幹の養成である。この人倫の根本を説いた偉大な先哲は、歴史上、綺羅(きら)、星の如く君臨している。嘉納師範もその一人であり、「人間として歩むべき道」を見い出そうとした教育の「倫理化」がそれにあたろう。  嘉納師範は、明治という新しい時代の夜明けにあたり、ヒトが人間として如何に在らんかの思索に肺肝を砕き、千思万考したといわれている。その結果、人間形成の方法・手段として、新たに始めた柔道を唱え、柔道を修行せよ、と終生説き続けたのある。  「人間としての歩むべき道」ここに思いを馳せるとき、既に若かりし頃より世界を見つめていた嘉納師範にとって、独り日本人を思うのみでは論議の完結をみなかった。何故ならば、世界に伍して歩まんと国際社会に向けて重い鎖国の扉をあけた文明開化・新生日本のエリートにとって、人類とは日本人だけではなかったからである。嘉納師範の視座はどこまでも高く、見つめた「道」はあくまでも民族や国境を超えた人類普遍の揺るぎない「人間としての歩むべき道」でなければならなかった。  世界の様々な宗教、哲学、倫理、道徳、そして教育や政治、さらに、地域社会の慣習や伝統的価値観に接しながら、嘉納師範の「道」を論じる思索と苦悩は40年に及んだ。そして如何なるイデオロギーをも超えた人類普遍の揺るぎない「人間としての歩むべき道」に到達した境地が「精力善用」「自他共栄」(= the Principle of Maximum Efficiency, and of' mutual aid and concession, leading to mutual welfare and benefit. 英訳者: Trevor Pryce Leggett,英国人,講道館6段)である。  ちなみに、講道館の命名について付け加えれば、「修行」の場所は、道を行う場所ゆえに「道場」と呼び、その「道」を講ずる館として、師範の主宰する道場を講道館としたといわれている。 嘉納師範の唱える柔道の精神と目的を要約するならば、柔道修行においては、攻撃防御の練習で身体精神を鍛錬修養し、柔道技術の合理性を体得する。その努力の中から同時に、物事を行い目的を達成しようとする際、如何にしたら最も効率よくその目的を達成することができるか、ここを考える姿勢態度を養う。この努力の道こそが柔道による能力開発の道であり、その目的は世の中に貢献するためである。これらの姿勢態度を養うことによってお互いの繁栄の基礎を確立し、その基礎の上に立つ人類社会を創っていくのである。


<資料 NO.2>


2000年までの柔道の試合:講道館柔道試合審判規定の概略


 柔道の試合は一般に「講道館柔道試合審判規定(平成7年10月27日改正)」通称:国内ルールによって行われる。しかし、オリンピックや世界選手権などの国際試合や全日本学生柔道連盟の主催する試合や高校の一部の大会においては「国際柔道連盟試合審判規定 International Judo Federation Contest Rules(1993年IJF総会決定版」通称:国際ルールが使用されている。ここでは平成8年1月より施行された前者の新国内ルールについて改正箇所を中心に概説したい。

 1.試合、審判員

 試合は試合会場で行い、試合の勝敗は試合場内を選手と共に移動しながら試合を見守り、その進行や勝負の判定を司る「主審」1名と、試合場外の対角線上に着席して主審を補佐する「副審」2名によって裁定される。裁定につて今回の改正では僅差判定に際して、従来副審による旗判定を参考に主審が自分の判断を加味して最終裁定していたのを国際ルールと同様な主審も旗判定に加わり裁定するように改正された。勝敗は選手の駆使する技(投技:65と固技:29の合計94本)の決まり方程度により、高い方から順に「一本」「技あり」「有効」(国際ルールではこの下に「効果」が加わる)の得点が与えられる。柔道試合はいわゆる「一本勝負」であるので、どちらかの選手が「一本」を獲得した時点で終了となる。「一本」の換算については、「技あり」2つで「合わせ技」の一本になるが「有効」は数を重ねても「一本」にはならず、回数のみが記録される。また、選手の犯した反則行為:禁止事項の程度によって「指導」「注意」「警告」「反則負け」が課せられ、技の決まり方程度の得点と総合的に換算加算され判定が行われる。技の決まり方程度と反則の程度の換算加算については、「一本=反則負け」「技あり=警告」「有効=注意」「(効果)=指導」であり、反則行為は技の決まり方得点と異なり「指導」の宣告2回で「注意」に、以後は宣告を受ける度に「警告」、「反則負け」になる。なお、この加算換算方法は平成7年の改正から国際ルールと同様になった。  試合者の一方または双方が、場外に出た場合に施された技は無効となる。試合者が場外に出た場合とは、立ち姿勢においては片足でも出たとき、捨身技においては半身以上、寝技においては両者の全身が出たときのことである。投げ技の効果があったときとは、技を施した者が効果があった瞬間まで場内に居た場合には他方の全身が場外に出ていてもその技を有効とみなす。特例として、試合者の双方が、場内にいて投げ技が施され、その後、技をかけられた試合者が場外へ出た場合でも、投げの動作が継続しており、技の効果が明らかに成る瞬間まで技を施した試合者が場内にとどまっているときは、その技は有効となる。


<資料 NO.3>


2001年からの柔道の試合:2001柔道審判マニュアル(財団法人全日本柔道連盟)からの抜粋

作成協力: 羽鳥優子


審判員マニュアル【総論】

1.審判員として

(1) 審判活動に必要な事項全てに熟練する

  必要事項には、まず、規定の理解があるが、試合運営要領(全柔連)やスポーツ運営規定(国際柔連)等に載っていないゼッケンの名前の位置、サイズなども確認する。さらに審判員の服装も定められた通り、季節にあわせて着用する。国内の夏場にネクタイが略される場合があるが、予め省略の通知がある場合を除いて正装で行う。

(2) 柔道の経験を豊富に持ち、柔道の基本と技術を十分理解する

  ここでいう経験とは競技力水準の高低、幅広い年齢層や男女における柔道の質的な差違等を踏まえた体験のことである。また、同じ技でも勢いやはずみがそれぞれ微妙に違う。禁止技は通常の稽古では施技されない。稀少的な技も乱取りで理解するなど、特に取り上げて研究しておく必要がある。

(3) 審判を多く経験し、常に審判技術の向上に努める

審判員として熟練するには多くの経験が必要である。しかし、単に数をこなすだけでは向上は期待できない。審判員として常に課題を持つこと、及び試合後、反省をすること等が必要である。試合の結果には影響がなくても、審判技術について改善すべき場合が多いからである。

(4) 多くの試合を観察する

  規定をすべて理解したとしても、すぐに審判ができる訳ではない。審判員としてどのように試合者の技を評価し、試合を円滑に進行させるか等は、試合を観察することから始まる。他の審判員を見ることも技術や運営の観察眼を養う上で必要なことである。

(5) 技術の動向に注意し、技術の高度化・多様化についていける目を養う

  競技力の高い試合は、多くの場合テレビ上映があるので観察できる。攻撃防御の高い水準の場合、禁止事項も巧妙に行われることがある。従来見られなかったような技や禁止行為も出てきているので、注意が必要である。

(6) 審判規定に精通し、大会前日に規定を見直す

  規定を精読することは言うまでもないが、試合の前に規定を見直すことは、勘違いを避け理解不足を補う意味でも、自信を保持する意味でも極く重要である。油断することなく、事前の準備をしておきたい。

(7) 研修会に出て最新情報を得る

  規定の文言は同じでも、どのように解釈するか、どの条項を適用するかは変わることもある。特に国際規定ではこの傾向が強い。研修会や講習会には積極的に参加し、新しい情報を収集することが大切である。

(8) 判断力を養成する

  条文が示す内容について、具体的な状況や場面を想定できるようにしておく。そうでなければ、条文が示す内容と実際の審判とが結びつかない。観客席にいながらでも自分の判断を下し、試合場の審判員と比較してみるなどは判断力の養成に役立つ。

(9) 素直さと協調性を心掛ける

  十分な自信は審判にとって必要であるが、審判員同士の間では、互いに協力、尊重しあうことが重要である。副審2人が異見を示しやら、冷静に訂正しなければならない。それがたびたび起こるようでも、他意を持たず、明瞭かつ的確に処理しなければならない。

(10) 適度な緊張と集中力を持続する

  試合が連続するときや食事後、あるいは副審で同じ姿勢を保ち続けるときなどは、無意識のうちに集中力が低下しがちである。休憩中に水分をとるなどして、気分転換を図ることは効果的である。

(11) プレッシャーに負けない精神力と平常心を養う

  「間違えたら…」「難しい状況が起こったら…」「うるさいコーチがいる」などと考えることから、必要以上のプレッシャーが生じてくる。その場合は、万全の準備をしたと自分に言い聞かせ、息を十分吐くことである。「規定に忠実であったか」という点が問われるのだと考えるのがよい。

(12) 瞬時に評価する能力を養う

   投技の場合、技が決まると、周囲全体が主審に注目する。そのときが適時であり、これを逸するべきではない。空中に大きく浮いて「一本」を確信させるようなときもあるが、そこであわてず、畳につく瞬間を確認する。抑込技では時問が影響するので「抑え込み」や「解けた」の宣告が遅れないようにする。

(13) 反則の種類・内容を的確に判断する能力を養う

禁止事項に関して適用される罰則は、国際・国内で違いがあるので再確認しておく。さらに、禁止事項を安易に見逃せば、そのまま試合が流れ、公正を欠くしまりのないものとなる。試合とは練習の成果を発表し、評価を得るという極く重要な場であることを深く認識しなければならない。

(14) 試合後、審判活動を反省する

反省ノートを持てば理想的であるが、そうでなくても審判活動を振り返って、他の審判員や観戦した人々と相互評価しあうことが有益である。そこで規定を読み返すと、条文に対する理解がさらに深まるであろう。

2.審判員としての心掛け

(1) 健康管理を行う

審判員は日頃から健康に留意し、心身とも健全な状態でありたい。特に大会前日は酒量に注意し、睡眠を十分にとり、当日は選手と同様に万全の状態で審判に臨むべきである。

(2) 公認審判服を正しく着用する

審判員は公認のブレザー・ズボン・ネクタイの服装で所定の場所にエンプレムをつけ、ワイシャツは白色を、靴下は黒色を着用する。その服装は清潔であり、正しく着用されていることは言うまでもない。

(3) 係員や医師、表示板の位置を確認する

審判員は試合開始の前に、試合場の状況をよく把握しておく。試合場が複数ある場合には、担当する試合場の係員の位置を確認するとともに、表示板や時聞の合図を知らせるブザーの音などを事前に確認しておき、隣の試合場と間違えないようにしておく。また、医師が控えている場所や試合者が試合場を離れる際の付き添う役員がどこにいるか、また審判長の席はどこかなどの確認もしておく。

(4) 姿勢、態度に注意する

審判員の姿勢・態度は極く重要である。 なぜならば、審判員が緊張し過ぎる態度や自信のなさそうな態度を見せたり、或いは周囲の声に惑わされるような態度では、選手・コーチや観客から信頼を失うからである。落ち着き、威厳ある態度で審判することが肝要である。 また、主審のとき手をブラブラさせたり、休めの姿勢をとったり、またメリハリのない動作をすると、試合全体の雰囲気に悪い影響を与えるので注意を要する。 なお、副審のときは、椅子にもたれ過ぎず、背筋をまっすぐに伸ばし、両脚は肩幅位にひらき、手は軽く大腿部の上に置く。

(5) 審判規定の解釈に従って忠実に判断する

柔道の本質やルールを適確に理解し、規定通りに判定する。自分勝手な判断を避ける。

(6) 周囲に惑わされることなく、毅然とした態度を保つ

人は、無意識のうち自分の関係する者が優位に立っているように感じるものである。しかし、監督・コーチが、所属する選手にアドバイスするのはともかく、所属の選手を勝たせたい一心で相手の選手を誹謗したり、審判員に対して投技の判定や反則の扱いについて異議を申し述べる者がいる。 このようなときにこそ、審判員は冷静に揺るぎない信念を持って審判をすることが大切である。

(7) 試合者に公平である

審判員は公平であり、血縁、所属地域、所属団体、出身校または知名度等、個人的な如何なるひいきもあってはならない。

(8) 会場で選手やコーチとの話を慎む

審判員は会場でコーチや選手と話をすると無用な誤解を生じかねない。審判員は審判席を中心に行動することが肝要である。

(9) 自分の順番に注意を払う

大会当日、時間的余裕をもって集合すること、及びいつ審判を割り振られても良いよう準備し、審判員席で待機する。

審判員マニュアル【各論】

3.技の評価

(1) 技の評価基準を一定に保つ

技の評価が試合の展開や勝敗を左右する。試合は立ち勝負から始められ、投技を中心にして攻防が展開される。 審判員は施技の結果を瞬時に判断して宣告と動作を行わなければならない。判断は規定に則して行い、ばらつきや偏りのないようにする。 内股・払腰等のように大きく宙に舞う技も、小内刈・大内刈のように低く投げる技も、評価は同等に行わなければならない。 (2) どちらが最終的に投げたか、よく見極める

●捨身技の場合

捨身技では、体を後方又は側方などに倒しながら技を掛けるため、技を掛けた試合者が自ら倒れたか、或いは捨身技を掛けられた相手が巧みに変化したかなど判断の難しい状況が起こりうる。その状況で瞬時に技の判断をしなければならない。

●返し技の場合

相手の掛けてきた技を、返し技で応酬することがある。投技はどちらが掛けた技か、どちらが返したか、どちらの技が有効かどうかを見極めて、その結果を判断する。

●自滅した場合

投技を樹けたが失敗し、自滅して倒れた場合は、その機に乗じて相手が返したり、すかしたりして投げたかどうか、その経過を見極めて判断する。

●同体の場合

同体で倒れて同じような体勢になったときは相殺し、得点を与えない。

(3) 場外際での投技について、特によく見る

場外際での投技の攻防には、判断の難しい場面がある。特に「連絡技」「変化技」「捨身技」等については規定どおりに「場内」「場外」を決定する。難しい場面では、まず、副審の判断を確認する。

(4) 「技あり」があった後、投技の判断を正確にする

一方の試合者に「技あり」の得点があり、さらにその試合者が明らかに「一本」を取った場合、「一本」「それまで」と宣告する。

{副審}

(5) 副審自身の目で判断し、判定を下す

副審は、主審を補佐するのであるが、技の判断は主審にゆだねず、また他方の副審に惑わされず自身で確実に行う。 技の判断は、主審より先に動作しない。ただし、技の効果を認めたときや主審の判断に対して異見のある場合は動作で知らせる。

(6) 主審と同じ気持ちで審判をする

副審の場合、ややもすると緊張感のない審判をしがちである。 主審に任せきりにせず、技の判断、反則の有無、場内外の判断等をしっかり行う。また、異見等は迷うことなく行い、主審に適切な処置を求める。自分の意見を示すことが、審判のチームワークとなる。

(7) 場内外における判定を正確に動作で示す

場内外の判定は、副審の責任であり、常に正確を期して行われなければならない。

4.反則の判断

(1) 反則の判断は、技の判断と同等に重要である

反則の判断は技の判断と同様に、審判員が裁量権を持っている。違反行為に対して正しい罰則を適用させる能力が必要である。

(2) 反則の種類と内容をよく見て判断を下す

試合者の違反行為に対して、その都度、適切な罰則を与えなければならない。

(3) 罰則を与えるタイミングをよく考える

審判員は罰則を与える場合、「待て」あるいは「そのまま」で試合を止めなければならない。しかし、試合の流れをよく把握して行うことが肝心である。例えば、組み手争いからやっと組み合ったときに「待て」をかけるべきではない。

(4) 「極端な防御姿勢」か「積極的戦意の欠如」か、よく見極める

「防御姿勢」か「積極的戦意の欠如」かを見極める。 一方の試合者が防御姿勢をとっているため、攻撃出来ない他方の試合者に、安易に「積極的戦意の欠如」の罰則を与えるべきではない。

(5) 「消極的柔道」の反則は、原則として片方に与える

どちらの試合者が「消極的柔道」なのかをよく見極め、原則として片方に罰則を与える。

(6) 罰則を与えることに対して、日本人審判員は消極的傾向がある

日本人審判員は外国人審判員と比べて、反則の適用に消極的傾向がある。反則の判断にばらつきがあると、試合の勝敗に影響を及ぼすばかりか、選手や周囲に不信感を抱かせる。反則の判断基準は規定通りに行い、一貫した審判を行う。

(7) 「内股等を掛けて頭から突っ込むこと」の反則は、見逃さず厳しく適用する

「内股等を掛けて頭から突っ込むこと」は怪我につながる禁止行為であり、厳しく対処しなければならない。1回目の行為から「反則負け」とすべきである。 また、「内股等」なので、背負投や釣込腰等で頭から突っ込んだ場合も適用する。

(8) 合議は必要最小限にする

罰則を与えるときの合議は、「与えるか、与えないか」などの確認にとどめ、試合の進行をスムーズにする。

{副審}

(9) 主審とは見る位置と角度が違うので、反則を見逃さないように自分の意思を表明する

技の判断同様、副審自身の目で反則を判断し、異見がある場合は自分の見解をすみやかに示す。

5.動作 (1) 常に適切な位置へ移動する

主審は、試合者の攻防の展開を予測し、試合者に接触することのない見やすい距離に位置し、常に試合者を視野に入れる。 さらに、副審が試合を杷握しやすいように、副審の視界を妨げるような位置には立たない。試合者を見る位置は、両副審と主審とで三角形をなすように移動すると、副審の異見なども確認しやすい。

(2) 移動中も試合者を視野から外さない

主審は、試合者が組み合っているときはもちろん、「待て」をかけた場合でも、試合者を視野に入れておく。場外などで「待て」の後、試合者から目を離すと、何らかのトラブルの発生に対して瞬時に判断が出来ないことになる。主審は、「待て」から「始め」の宣告をする間、戻る距離が長い場合には、試合者を見ながら元の位置に戻るようにする。

(3) 副審や時計・掲示も同様に視野に入れておく

主審は、常々一方の副審を視野に入れておき、技の判定に対する異見や反則を促す動作が示されていないかを何時でも確認できるようにする。 電動式の表示板が使用される場合、主審は係員が時計を正しく操作しているかどうか確認すべきである。なお、電動式では手動式の時計が併用される必要があるが、その準備がなく故障した場合などは、残り時問が分からなくなってしまうので注意を要する。 また、主審は宣告を行った際、宣告通りの表示になっているかどうか確認する。訂正が必要なときは、主審が記録係に正しい表示を求めなければならない。

(4) 動作は正確に両副審や係員に、そして試合会場の全員に見えるようにする

主審の動作は両副審や係員に分かるように、動きながら最低3秒間(国際規定では3〜5秒間)継続しなければならない。特に投技の「技あり」や「有効」から寝技の攻防に移った場合、両試合者から視線を外すことなく体を捌く感じで身体を回すと、副審に分かりやすく、また会場からもよく見ることができる。 なお、3秒程度とはいえ、感覚的にはやや長く感じられる時間である。「技あり」などに続く抑込技では、反対側の腕で「抑え込み」の動作を行うとよい。また、場外際で「技あり」や「有効」を宣告した後に「待て」を宣告する場合も、同じように反対側の腕で動作を行った方がよい。

(5) 「待て」は掌を時計係に向け、試合者に向かって発声する

「待て」を宣告するときは、攻防動作を瞬時に止められるように、試合者に向かって発声する。会場が盛り上がっている場合など、声が小さかったり不明瞭な発声では、試合者が聞き取れないこともあるので、ハッキリと大きく宣告しなければならない。 「待て」の動作は、時計係が確認しやすいように、掌を時計係に向け、明確に示す。場外際にいる場合などは、最低でも3秒間は続けなければならないので、元の位置に戻りながら動作を続けることになる。

(6) 罰則を与える場合は、試合者の方に身体を向け、人差し指は正しく試合者を指さす

「指導」「注意」「警告」などの罰則を与えるときは、与えるべき試合者の方に身体を向け、定められた動作を行った後に、人差し指でその試合者をさす。指さす方向が試合者のいる天井を指さしている例を見ることがあるので、注意を要する。 なお、両試合者に罰則を与える場合は、前方を向いたままではなく、それぞれの試合者の方に向き、その試合者側の手を使って指さす。

(7) 技の効果がどちらのものか紛らわしいときは、“開始線"を指さす

返し技が2転3転して決まった場合や、両者が同体に近い形で倒れて技の効果があった場合などは、記録係や観客がどちらのポイントか判断に迷うときがある。このようなときは、主審は技の効果を宣告し、動作で示すと同時に赤または白の開始線を指さし、ポイントをとった試合者を明示する。

{副審}

(8) 場内外の判断を動作で行う

副審は場外際で投技が決まった場合や技を掛けながら試合者が場外に向かって移動する場合は、場内外の判断をするとともに、規定に定められた動作をしなければならない。現在の規定では、投技で試合者が場外に出てゆく場合、技を掛けた試合者が有利に判断されるように、場外が拡代されて解釈されているので、よく見極める。また、場内外の動作をはっきり行う。

(9) 異見は主審の動作の後に示す

副審は主審と同様に常に技の効果を評価しながら試合を見るが、主審と技の評価が異なる場合を除き、動作をしてはならない。また、一方の副審が異見を示しても、自分に異見がなければ、動作をする必要はない。

6.発声・進行

(1) 声は大きくはっきりと出す

主審は試合中に「始め」「待て」「それまで」など、試合進行に関する宣告、「一本」「技あり」「有効」など、技評価に関する宣告、「指導」「注意」「警告」など罰則に関する宣告等々、各種の宣告を行う。これらの宣告は怒鳴りすぎてもいけないし、緊張感を欠いた発声でもいけない。また、言葉としてはっきり聞き取れるよう正しく大きな声を出す。

(2) 動作を伴う宣告は、動作と同時にする

審判員の動作に関して、国際規定では「公式合図をしなければならない」とされ、宣告との関係は述べられていないが、国内規定では「宣告等の際、次の動作を併せ示すものとする」としている。 原則として、宣告と動作は同時に行い、動作に対して宣告の遅速がないようにする。

(3) 「待て」と「そのまま」の宣告は,一方が不利にならないようにする

「待て」の宣告は、「試合者が場外に出たとき」「禁止事項を犯したとき」「負傷したり発病したとき」などに行われるが、宣告が早すぎても遅すぎても試合者の有利・不利が生じかねない。よく見極めて、試合者も周囲の者も納得するタイミンで宣告するようにする。 「そのまま」の宣告は、国際規定で示されているように国内規定でも立技ではほとんど用いられず、寝枝のときに反則を与える場合などに用いられる。宣告の際、一方が不利にならないよう注意を要する。

(4) 絞技、関節技の攻防で「待て」をかけるときは、そのタイミングをよく見極める

主審は絞技や関節技の効果をよく見極めなければならない。しかし、絞技では受の防御により顎が絞められていないかを素早く判断し、その場合は「待て」をかけなければならない。このとき、主審が見やすい位置に直ちに移動することはもちろん、見やすい側にいる副審が顎を絞めていることを動作で知らせることも必要である。主審はそのためにも、試合者とともに副審を視野に入れておく。 関節技では、「参った」の合図を見落とさないように注意する。この場合も、副審と連携して判断する。

(5) 「参った」の合図・発声をみて「一本」の宣告をする

絞技では、「参った」の合図か発声がないのに「一本」を宣告してしまい、トラブルに発展することがある。明らかに「落ち」た状態が確認できる場合を除いて、「参った」の合図か発声があるまでは「一本」の宣告をしない。 同様に関節技においても、「参った」の合図か発声がない場合は、技の効果が明らかにみられるまで「一本」を宣告しない。

(6) 寝技で絞技を施している時は、近づいてよく見る

絞技で両者が俯せの状態の場合は、技の効果が現れていないか、逆に顎が絞められていないか等、試合者に近づいてよく見る。しかし、近づきすぎると試合者の全身を確認しにくくなり、「落ち」の徴候を見逃しかねないので注意を要する。 また、絞めを確認するために主審が手や膝を畳につけて見る方法は、審判上の動きが制限され試合者の急な動きに対応しかねるので採らない。

7.姿勢態度・位置等

(1) 周囲の声に惑わされず、躊躇のない、毅然とした態度で行う

主審、副審共にこの態度を基本とし、特に主審はキョロキョロした態度を慎む。時々、副審を見てから自分の判断を下すような主審を見掛けるが、これはおかしい。あくまでも、自分の判断をまず明快に示すことが務めである。

(2) 主審は、試合者との距離を適当に保って移動する

適当な距離とは近過ぎず遠すぎずということであり、原則として約3mを意味する。寝技の場含、特に絞技、関節技の攻防のときはこの限りでなく、より適切な距離に移動して見極める。

(3) 原則として場内にあって審判をする

寝技の攻防で特に動作施技の見えにくい場合は、場外から見てもよい。 主審の立つ向こう側で絞技等が施されるような場合、その主審の位置からでは死角が生じ、絞めている試合者の動作、絞められている試合者の表情等が見えない。このような場合は、より的確な審判をするためにも場外から見ることもやむを得ない。

(4) 副審の視野を確保しておく

主審が試合者と副審を結ぶ線上に立つと、副審は主審の背中を見ることになり、試合者が見えなくなる。こういう状況では当然のことながら、その副審は判断が出来なくなる。主審は試合者と副審を結ぶ線上には立たない。

(5) 技の評価を示す時は、異見の有無確認のため、副審の一人を視野に入れて行う

3人の審判員による多数決制で行われている現在、主審は常にこの異見の確認が必要である。副審2名の異見が表明されたときは、すみやかに訂正を行う。

(6) 自然体を基本とした姿勢で審判をする

審判員の姿勢に“休め”はない。試合者と共に常に活動状態にあることが務めである。

{副審}

(7) 正しい姿勢で座る

背もたれに寄り掛かることなく、背筋を伸ばし、適当な間隔に開脚し、掌を下にして軽く握り、大腿の上に置き、肩に力を入れず座る。深く腰掛け、背もたれに触れるのは構わないが、その際も背筋を伸ばし、形の良い姿勢で座る。

(8) 試合者が近づいて来た時は、椅子を持ち、素早く適当な位置へ移動する

試合者への妨害をしないこと、及び試合者・副審双方に対する危険防止等の意味で非常に重要な動作である。このとき、椅子を持ちながら場内外の判断を示す場合があるが、その際、場内外を示す手が自分の身体の前をクロスするような指示の仕方にならないよう注意を要する。

(9) 寝技での絞技、関節技の攻防の際は特に注意する

危険な状態や反則行為に当たる動作等をいち早く察知するために、寝技の攻防の際、絞技、関節技には特に注意する。

(10) 試合中、柔道衣を着替える必要の生じた試合者には、副審一人が付き添う

試合者が男性の場合は男性の副審が、女性の場合は女性の副審か、または女性の係員が付き添い、不適格な柔道衣でないことや不正等を防ぐ。

(11) 合議の際は試合者から離れた位置で行い、しかも試合者を視野に入れておく

試合者に合議の内容が漏れ聞こえないようにする。またその間、試合者が何か勝手なことや不正なことをしないか等を注意しておく。

(12) 医師の診察時は、副審も共に観察する

審判員が最も注視すべき対象は、常に試合者であることから、たとえ試合が中断された医師の診察時であっても同様である。副審も歩み寄って主審と共に観る。

8.礼法

礼は、人と交わるにあたり、まずその人格を尊重し、これに敬意を表することに発し、人と人との交際を整え、社会秩序を保つ道であり、礼法は、この精神をあらわす作法である。精力善用・自他共栄の道を学ぶ柔道人は、内に礼の精神を深め、外に礼法を正しく守ることが肝要である。 また、礼法は、柔道を他の国際的スポーツとは違った独特のものとしている。その動作は、敬意、感謝、及び礼儀としての性質をもつ。 立礼は、直立の姿勢から上体を自然に約30゜曲げ、両手の指先が膝頭約一握りくらい上まで下ろし、敬意を表する。平常呼吸で大体一呼吸(約4秒)である。 主審と副審は、礼が以下の礼法のガイドラインに沿って確実に行われるようにすることにより、この独特な性質を保持するのに重要な役割を持っている。審判員自ら正しく礼を行い、選手にも正しい礼法を徹底するよう努めなければならない。

(1) 個人戦

1)審判員の礼法

@試合開始前

審判員は、主審を中央にして、正面に相対する場外端の中央に位置して、正面に向かって立礼を行う。その後、赤畳上に進み、再度、正面に向かって立礼をし、その位置で、主審は一歩下がり、副審2名が互いに向き合い、礼をする。その後、それぞれの位置につく。このとき、両副審は、同時に着席する。

A2試合目以降

場外端の中央で正面に立礼を行った後、それぞれの位置につくこととする。終了する場合も同様に行う。主審、副審が交替する場合は、互いに歩み寄り赤畳上で、互いの立礼をしてそれぞれの位置につく。

B最後の試合

赤畳上で正面に向かって立礼をし、さらに互いの立礼をする。その後、場外端の中央に戻り、再度、正面に向かって立礼をし、試合場から退場する。試合場が複数の場合も、同様に行うものとする。

2)選手の礼法

国際柔道連盟試合審判規定と講道館柔道試合審判規定の礼法に違いがある。

〔国際柔道連盟試合審判規定〕

●試合の開始

@試合場に入る時、試合者は上席に向かって礼をする。

A試合者は、赤畳の外側の中央の位置まで進み、礼をする。

B試合場内のそれぞれの開始線の位置まで進み、礼をし、一歩前に出て、主審の「始め」の宣告を待ちながら自然本体に立つ。

●試合の終了

@試合が終了し、主審が「それまで」を宣告したなら、両試合者は試合結果を待つために、それぞれの試合開始線の前に立つ。試合者はこの時点で柔道衣を正す。

A主審は一歩前に進み、試合結果を示し、一歩下がる。この指示に続き、試合者は同時に一歩下がって、互いの礼を行う。

B試合者は、赤畳の外側の中央の位置まで後退し、礼をする。

Cそれから、試合場を去るときに、上席に向き、礼をして去る。

〔講道館柔道試合審判規定〕

●試合の開始

@試合場に入る際は、試合者は正面に向かって礼をする。

A試合者は試合場内のそれぞれの開始線上まで進み、正面に向きを変え同時に礼をする。

B再び向かい合って礼をし、左足から一歩前に出て自然本体に立ち、主審の「始め」の宣告を待つ。

● 試合の終了

@試合が終了し、主審が「それまで」を宣告したなら、試合者は試合結果を待つために、それぞれの試合開始線の前に立つ。

A主審によって試合結果が示された後、右足から一歩下がって互いの礼をし、次に正面に向きを変え同時に礼をする。

B試合場から出る際には、正面に向かって礼をする。

(2) 団体戦

国際柔道連盟試合審判規定と講道館柔道試合審判規定の礼法に違いがある。

〔国際柔道連盟試合審判規定〕

●試合の開始

@各試合を始める前に、副審・主審・副審の順に並び、場外際の中央から試合場に上がり、上席に向かって礼をする。

Aそこから、主審と副審は危険地帯(赤畳)まで進み、上席に向かって礼をする。

Bその位置で、主審は一歩下がり、副審2名が互いに向き合い、礼をする。

C主審と副審は、横一列に並び、上席を向いて選手の入場を待つ。

D両チームは、試合場の端で礼をし、危険地帯(赤畳)前で互いに礼をして、開始線上まで進み、向き合う。

@両試合者は、危険地帯(赤畳)の前で互いに礼をし、開始線上に立ち、互いに礼をし、一歩前に出る。

A主審の「始め」の宣告で試合を開始する。

B試合が終了し、主審が「それまで」を宣告したら、両試合者はそれぞれの開始線の一歩前に立つ。主審は一歩前に進み、試合結果を示し、一歩下がる。この指示に続き、試合者は同時に開始線上に下がり、互いに礼をする。

C試合者は、危険地帯(赤畳)の外側まで下がり、互いに礼をして試合場を出る。

●試合の終了

@最後の個人試合が終了し、試合者が試合場を出た後、両チームの試合者は開始線上まで進み、互いに向き合って並ぶ。(赤畳外側で礼をしない)

A主審と副審は、主審を中央にし、試合開始時の位置で上席を向いて並ぶ。

B主審は一歩前に出て結果を指示し、一歩下がり元の位置に戻り、「礼」の号令をかける。両チームは互いに礼をする。(審判員は礼をしない)

C主審は両チームが上席を向くよう両手を前に伸ばして指示し、両チームは上席を向く。主審の「礼」の号令で、両チームは上席に礼をする。(審判員は礼をしない)

Dこの後、両チームは危険地帯(赤畳)の外まで下がって互いに礼をし、試合場の端で軽く礼をして試合場を去る。

E主審と副審は、危険地帯上で上席に向かって礼をし、互いに礼をし、試合場の端の中央に戻り、上席に礼をして試合場を去る。

〔講道館柔道試合審判規定〕

●試合の開始

@試合場に入る時は、試合者は正面に向かって礼をして入る。

A両チーム(大将を正面側)は開始線上まで進み、向かい合う。

B主審は整列した両チームに「正面」と合図する。主審の「礼」の号令で両チームは正面に礼をする。(審判員は礼をしない)

C両チームは互いに向かい合い、主審の「礼」の号令で礼をする。(審判員は礼をしない)

D試合場を出る時は、試合者は正面に向かって礼をして出る。

●各個人試合

個人戦の礼法を行う。但し、正面への礼は除く。

●試合の終了

@最後の個人試合が終了した後、両チームの選手は開始線上まで進み、互いに向かい合う。

A主審と副審は、試合開始時の位置で正面を向いて並ぶ。

B主審による結果が示された後、「礼」の号令で礼をする。(審判員は礼をしない)

C主審の「正面」の号令により両チームは正面に向かい「礼」の号令で礼をする。(審判員は礼をしない)

D試合場を出る時は、正面に向かって礼をする。

E主審と副審は、赤畳上で正面に向かって礼をし、互いに礼をし、試合場の端の中央に戻り、正面に礼をして試合場を去る。

9.講道館柔道試合審判規定・少年規定

「少年規定」は、小・中学生に適用される規定であるが、その基本理念は正しい組み方で、正しい技を掛け合う、講道館柔道の基礎を習得させ、生涯にわたって柔道に親しむ能力や態度を育成し、日本柔道の基盤を確実に築くことである。少年柔道に携わる全ての関係者は「基本の習得」と「安全管理」を認識し、少年柔道の育成に取り組む必要がある。とくに審判員は、試合の場で少年を指導する立場として、大きな責任を担っている。従って、審判員はこの少年規定の基本的な考え方を十分に理解し、安全に留意し、正しい組み方、正しい礼法を徹底させる等、その役割は大きい。

(1) 後ろ襟又は背部を握ること

「背部」は、瞬間的(1〜2秒程度)であれば認められている。「後ろ襟」は、正中線を越えて握り続けた場合は、いわゆる片襟・片袖の反則(6秒)を適用する。 中学生の場合は、後ろ襟を握ることが認められる。後ろ襟を握ることにより、「相手の首を巻いて」施す反則が適用される技の掛け方や、後ろ襟を握られて「首を抜く」反則が予想されるので、この反則の適用について、審判員は適切に判断しなければならない。

(2) 両膝をついて背負投を施すこと

正しい背負投を奨励するためにも、最初から同時に両膝をついて施した背負投はもちろんのこと、ほとんど同時に両膝をついても反則とする。両膝をついての背負投による弊害は、技を掛けられる側の頸椎損傷や技を掛ける側の成長過程における膝関節傷害といった「負傷」である。

(3) いきなり相手の足(又は脚)を取ること

中学生に関しては、「後ろ襟」と同じく、試合者の程度に応じて、片手で襟、又は袖を握っている状態からの踵返や朽木倒は認められる。これは、足を取っての肩車・掬投・谷落などが認められていることと整合性を持たせるためである。

(4) ケンケン内股等の解釈(背部を握り続けた場合)

「後ろ襟・背部、又は帯を握った」状態で、ケンケン内股等を掛ける場合は、〔瞬問的(1〜2秒程度)〕の規定にかかわらず、特例として認められる。ただし、ケンケン内股から、大内刈等に変化しても技の効果は認められない。その場合は早めに「待て」をかけるべきである。なお、ケンケン内股を返して、技の効果があったときは、その効果は有効とする。

(5) 三角絞を用いた寝技への移行

三角絞への入り方を利用して制するような場合があるが、絞めが効いているのかどうかよく見極めて判断し、反則を適用する。

(6) 見込み「一本」について(中学生)

絞技をこれ以上継続させたら危険な状態となることが見込まれる時、審判員は見込みによって「一本」の判定を下す。柔道を始めて間もない選手が出場する大会ほど、審判員は絞技における「見込み」による判定について十分注意を払わなければならない。

(7) 固技などで、頸の関節及び脊椎に故障を及ぼすような動作をすること

「頸の関節及び脊柱に故障を及ぼすような動作をすること」は「警告」又は「反則負け」であるが、少年規定では「指導」以上としている。これは、重大な事故につながる危険性がある動作として、特に少年規定で重要視していることであり、事故が発生してからでは遅い。早めに「待て」をかけ、反則を適用すべき事項であることを十分認識する必要がある。

1 IJF審判マニュアルの要点(国際柔道連盟)

1.審判の心得

@まわりから受ける数々のプレッシャー(コーチ・試合者・観客・テレビ・試験官)による余計な考えや感情を取り去らなければならない。

A自信に満ち、公平で注意深く、威厳に満ち、落ち着いた態度でなければならない。

B多くの審判の数をこなし、また同僚に自己の審判評価を求め、審判経験を積むことが重要である。

C審判員は大会直前に審判規定を見直すべきである。

D副審は、主審の権威を認め、適切な寛容度を持って見なければならない。

E副審は、審判団の重要なメンバーであり、主審と同等の発言権を持つ一方で、異なった責任を有し、特に技の場内外の意思表示を明確に行う。

2.審判員の技術

@主審は試合の中心的権威であって、冷静さ、自信、合理性を保たなければならない。

A主審は投技の評価の宣告の際に、副審を見て同意の有無を確認したりしてはならない。

B主審は宣告を下し、ジェスチャーを示すとき、視野の隅に少なくとも一人の副審が見えるように、少しだけ(1/4)身体をひねることが重要である。

C主審は副審2人との親密な関係を保つことが重要である。

D副審は、主審に対して過剰な影響を及ぼす行為をしてはならない。

E副審は、主審より先に(技の評価の)ジェスチャーをしてはならない。

3.合議

@合議は最小限にとどめなければならない。

A主審は両副審を「主審の開始位置」の少し後方、選手に聞こえる範囲の外に招く。

B主審は「そのまま」のときは、必要な場合は両副審を選手のところに招く。

C主審は選手の方に向かい、副審はその両側で内に45度向いて立つ。

D主審は両選手を、副審は少なくとも一人の選手を視野に入れながら合議する。

E合議の間、主審は副審一人ずつ意見を聞く。

F一人の副審だけと合議してはならない。

(意見の相違)

@異なった見解を持つ副審は、すぐに適切なジェスチャーを行い、他の副審がその見解を認識するまで持続しなければならない。

Aもし、主審が、両副審の異なったジェスチャーに気付かなかった場合、主審に近いほうの副審が主審に歩み寄って知らせなければならない。

4.医師の診察

@医師の診察は主審の権限によってのみ宣告される。

A試合の中断時には、副審は主審のところに行き、規定に従った行為が行われているかどうか確認しなければならない。

B主審は負傷が禁止行為によるものか、事故によるものか決定しなければならない。もし、事故によるものであれば、すぐに係員に(十マークの)診察の表示を指示する。

C負傷による医師の処置は1分以内に行うことを推奨する。

5.スコアポードの訂正

@表示に関する訂正は主審のみの権限である。

A主審は表示に誤りがあれば、試合を止め、訂正しなければならない。

Bもし、副審が表示板の誤りを発見したなら、主審がそれに気付くように立ち上がらなければならない。

Cもし、主審が気付かない場合は、両副審とも気付くまでそのままでいなければならない。

6.ジェスチャー(主審)

@姿勢、動作やジェスチャーはどのような状況にあっても自然でなければならない。

A正確に力強く、約3秒持続しなければならない。

Bジェスチャーをしている間は、主審は選手から目を離してはならない。

C「待て」の宣告時にはジェスチャーは手を時計係の方向に向けながら、選手に向かって発声すべきである。

D主審は腕を垂直に垂らし、基本の立姿勢を身につける。

E試合場を歩く場合、度が過ぎないようにすること。

F主審は、試合者が投げられたとき、畳とのインパクトの全体が見える位置にいなければならない。

G主審は、投げられた試合者が着地したとき、腰を引いたり頭や身体を捻ったりしてはならない。主審の動きが試合者の投げる動きと同じにならないよう注意する。

H主審は、身体全体でなく腕のみでジェスチャーを行うこと。

I「もう少し」といったような顔の表情や頭の動きは避けること。

J主審は、試合開始位置に戻す指示を礼節をもって行ったり、直接触れることをさけるなど、選手に対する敬意を示さなければならない。

K「抑え込み」のジェスチャーは、手を中心に1/4回転するべきである。

7.ジェスチャー(副審)

@副審の姿勢も、審判団全体の威厳にとって重要である。

A背筋はまっすぐとし、椅子の背もたれにもたれる。

B両手は膝に掌を下にして置く。

C足はやや開きぎみにし、足は畳に平らに置く。

D場内外のジェスチャーは、主審の技の評価の宣告か「待て」の宣告が行われるまで維持する必要がある。

8.位置

@主審は副審の視野を妨げないよう注意する。副審と三角形をなす位置を維持すること。

A試合者と3〜4メートルの間隔をとる。

B主審は常に試合者の動きを判断して、予測を立て、最高の位置につくこと。

3 IJF試合審判規定改正点(2001年1月1目施行)

1.鼻血、爪の損傷などの軽微な負傷でも、ドクターが呼ばれた場合には1回目から医師の診察として数える。ドクターの対処は1分以内を推奨する。試合中の医師によるテープ等の使用は、出血を覆い隠すためのみ使用できる。

2.ピストルグリッブだけでなく、袖口に触れて引っ掛ける握り方や袖口に触れて上から押さえつける握り方は、攻撃していてもいなくても即「指導」が与えられる。

3.髪の結い直しは1回だけ許される。2回目から「指導」とする。但し、「待て」をとって結い直しをする動作に対してカウントされるものであり、相手の「待て」の問に素早く結い直す場合はカウントされない。

4.縦四方固で抑えられたまま、抑え込んでいる試合者の脚を下から挟むことができても「解けた」を宣告しない。

5.握りを強くするために手に粘着スプレー等をかけたり、足にゴム製の当て具や伸縮性バンテージなどをつけたりすることは公平さを欠くことになるので、「柔道精神に反すること」として「反則負け」とする。

6.相手の足の間に片足を引っ掛けたままの姿勢で攻撃しているように見せかけた動作は、「標準的な組み方」とは認めない。「3秒から5秒以内」に具体的に攻撃しなければ「指導」が与えられる。

7.「極端な防御姿勢」と「指を組み合わす」2つの反則は、「5秒」を超えた場合に反則として扱っていたが、他のネガティブ柔道の反則と同様に「3秒から5秒以内」に攻撃しない場合に「指導」を与える。

8.正中線(脊柱)を越えた組み方は「標準的な組み方」とは認めない。「3秒から5秒以内」に攻撃しない場合には「指導」を与える。また、「標準的な組み方」以外の組み方を連続して行った場合、反則を適用する時間を最初は3〜5秒、次は3秒、次は即「指導」というように短くしていく。

9.無意昧な発声、相手や審判員の人格を無視するような言動を行うこと」は現行の「警告」から「反則負け」とする。なお、「それまで」の宣告後でも適用する。

10.「立ち姿勢において、組んだあと、何の攻撃動作もとらないこと。(積極的戦意の欠如)」を「組む前または組んだあとに」とする。

11.何れの試合者がスコアを取ったか判断するのが難しい場合は、審判員は開始線(青または白)を指差さなければならない。

12.主審と1名の副審が青の試合者に技評価(例えば「有効」)を与え、他の副審が白の試合者に技評価(例えば「一本」)を与えたような場合、審判員は合議しなければならない。

13.頭から畳に突っ込む「反則負け」において、肩車や袖釣込腰のような技でたとえ綺麗に投げたとしても、頭が畳につくつかないに関らず、正面に飛び込む方法は反則とする。

※正面から突っ込んだ場合のみ適用する。

14.相手をただ蹴ることは「注意」の反則を与える。足技を施しているのか、ただすねを蹴っているのかを見極める必要がある。

15.肩車で直接後方にブリッジをするような動作で投げることは、膝立ちの姿勢からでも立ち姿勢と同様に「反則負け」とする。

16.寝技において相手の背中に膝で極めて過大な圧力をかけたときには、「柔道精神に反するような動作」によって「反則負け」を適用する。

17.「第9条試合の場所(場内)」に関して附則の次の部分を削除する。

・取が投技を施して、場外で空中にある場合(空中にあり畳に触れていないとき)、取の身体の一部でも場外に触れる前に受が落ちたならば、その技は得点の対象となり得る。」

・投技を施した試合者が、技を施した瞬間に場外に倒れた場合、相手の身体が技を施した試合者の身体より早く畳についた時のみ、その技は得点の対象となり得る。したがって、技を施した試合者の片膝、片手又は身体の一部が、相手より早く安全地帯にふれたときは、その施した技によって得られた結果は無効となる。

5 柔道衣に関する規格規定

@襟     :幅4cm以上5cm以内、厚み1cm以内

★背中で縫合せた柔道衣の場合は、背継ぎ延長線上の襟の厚みは除く

A袖     :袖口の折り返し幅3cm以内

B背中    :背中で縫合せる場合、縫合せ幅(背継ぎ)3cm以内

C下穿    :裾の折り返し幅3cm以内

その他

D素材    :綿100%あるいは綿混率の高いもの(70%以上)を使用し手触りのよいもの

E裏地補強生地:肩当・胸当・腋当(上着刺子部分)の3か所のみ裏地補強を認める。 但し、裏地の使用は刺子の共生地1枚のみ可

★各補強生地寸法は、別図を基準とする

★生地の縫合せ部分に補強テープを施す場合は、幅3cm以内の薄手のテープを使用する

6 柔道衣のマーキングに関する規則

7 (財)全目本柔道連盟公認審判員規程

(目的) 第1条

この規程は、財団法人全日本柔道連盟(以下「全柔連」という)の公認審判員(以下「審判員」という)の制度を定め、審判員の養成とその資質の向上を図ることを目的とする。

(審判員の名称及び資格) 第2条

1.審判員の名称及び資格は、次の各号に挙げるとおりとし、全柔連がこれを認定する。

(1) Aライセンス審判員: 全柔連が主催、又は主管する全国的大会の審判員となる資格を有する者

(2) Bライセンス審判員: 地区柔道連盟(連合会・協会)が主催、又は主管する大会の審判員となる資格を有する者

(3) Cライセンス審判員: 都道府県柔道連盟(協会)及びその加盟団体が主催し、又は主管する大会の審判員となる資格を有する者

2.前項のほか、年齢60歳以上で7段以上(女子にあっては5段以上)の者のうちから選考のうえ、顧問審判員を置く。

(管轄) 第3条

前号の審判員の管轄については、次の各号に挙げるとおりとする。

(1) Aライセンス審判員は、全柔連が管轄すること

(2) Bライセンス審判員は、地区柔道連盟(連合会・協会)が管轄すること

(3) Cライセンス審判員は、都道府県柔道違盟(協会)が管轄すること

(審判員の義務等) 第4条

(1) 審判員は、指導者登録と合わせて審判員登録を毎年更新するものとする。

(2) 審判員は、前条各号に定める管轄団体が主催する審判員研修会に少なくとも2年に1回は出席しなければならない。

(3) 審判員は、各種の大会における自らの審判活動について、都道府県柔道連盟(協会)を経由して管轄する団体に届けるものとする。

(4) 前項及び第1項に係わる届け出は、管轄する団体から求められたとき、別紙様式により行うものとする。

(5) 審判員の任期は4年とし、任期を終了した者については、審査のうえ更新することができる。

(6) 審判員の定年は、満60歳とする。

(7) 審判員の服装は、別に定める服装規定のとおりとする。

(8) 審判員が、次の各号の一に該当する場合は、審判委員会は審判員の資格を停止し、又は、喪失させるものとする。

@ 特別の理由なく4年間試合の審判に携わらないとき

A 更新手続きをしないとき

B 審判員としての義務を怠ったとき

C 審判員としてふさわしくない言動のあったとき

D その他審判員として不適格と認めたとき

(試験) 第5条

審判員に関する試験は、別表のとおりとする。

(費用) 第6条

審判員に関する試験の受験料、ライセンス登録費(更新を含む)、講習会費は別表第2のとおりとし、その都度納付するものとする。

(審判の実施) 第7条

(1) 全国大会の試合の審判は、全柔連の審判委員会において選考したAライセンス審判員が行う。

(2) 全国大会のうち、実業団、大学、高等学校及び中学校等の全国大会の試合の審判は、前号の規定にかかわらず、原則として主催する団体において選考したAライセンス審判員が行う。 ただし、全柔連が前項に準じて審判員の一部を派遣することがある。

(3) 全国大会を除く試合の審判は、原則として主催する団体が選考した審判員が行う。

附則

1.この規程は、平成2年4月1日から施行する。

2.この改正規程は、平成12年4月1日より施行する。

8 国際柔道連盟技名称        1995年9月制定 1998年6月改正

1 投技(66本)

手技(16本)

背負投 一本背負投 背負落 体落 肩車 浮落 隅落 掬投 帯落 帯取返 双手刈 朽木倒 踵返 小内返 内股透 山嵐

腰技(10本)

大腰 浮腰 払腰 釣込腰 袖釣込腰 釣腰 跳腰 移腰 後腰 腰車

足技(21本)

膝車 支釣込足 払釣込足 出足払 送足払 燕返 小内刈 大内刈 小外刈 小外掛 大外刈 大外落 大外車 内股 大車 足車 大外返 大内返 跳腰返 払腰返 内股返

真捨身技(5本)

巴投 裏投 隅返 引込返 俵返

横捨身技(14本)

浮技 横落 谷落 横分 横車 横掛 抱分 外巻込 内巻込 跳巻込 払巻込 内股巻込 大外巻込 小内巻込

2 固技(29本)

抑込技(9本)

袈裟固 崩袈裟固 後袈裟固 肩固 上四方固 崩上四方固 横四方固 縦四方固 浮固

絞技(11本)

並十字絞 逆十字絞 片十字絞 裸絞 送襟絞 片羽絞 袖車絞 片手絞 両手絞 突込絞 三角絞

関節技(9本)

腕緘 腕挫十字固 腕挫腕固 腕挫膝固 腕挫腋固 腕挫腹固 腕挫脚固 腕挫手固 腕挫三角固

禁止技(4本)

足緘 胴絞 蟹挟 河津掛

9 講道館技名称           1982年10月制定 1997年4月改正

1 投技(67本)

手技(15本)

背負投 一本背負投 背負落 体落 肩車 浮落 隅落 掬投 帯落 双手刈 朽木倒 踵返 小内返 内股透 山嵐

腰技(11本)

大腰 浮腰 払腰 釣込腰 袖釣込腰 釣腰 跳腰 移腰 後腰 腰車 抱上

(注) 抱上は、現在、試合での技の効果は認められない。

足技(21本)

膝車 支釣込足 払釣込足 出足払 送足払 燕返 小内刈 大内刈 小外刈 小外掛    大外刈 大外落 大外車 内股 大車 足車 大外返 大内返 跳腰返 払腰返 内股返

真捨身技(5本)

巴投 裏投 隅返 引込返 俵返

横捨身技(15本)

浮技 横落 谷落 横分 横車 横掛 抱分 外巻込 内巻込 跳巻込 払巻込 内股巻込 大外巻込 蟹挟 河津掛

(注) 河津掛は、現在、試合では禁止技である。

2 固技(29本)

抑込技(7本)

袈裟固 崩袈裟固 肩固 上四方固 崩上四方固 横四方固 縦四方固 

絞技(12本)

並十字絞 逆十字絞 片十字絞 裸絞 送襟絞 片羽絞 袖車絞 片手絞 両手絞 突込絞 三角絞 胴絞

(注) 胴絞は、現在、試合では禁止技である。

関節技(10本)

腕緘 腕挫十字固 腕挫腕固 腕挫膝固 腕挫腋固 腕挫腹固 腕挫脚固 腕挫手固  腕挫三角固 足緘

(注) 足緘は、現在、試合では禁止技である。

  



<資料 NO.4>


2007年現在の講道館柔道 歴代十段の記録

安部一郎先生提供資料より


講道館柔道 歴代十段の記録


<ニュース NO.1>



要旨


小川正行 Mail: ogm@thunder.edu.gunma-u.ac.jp