西洋における絵画美術の流れ


T.旧石器時代〜オリエント

 @旧石器時代・・・狩り生活の人が、狩りの安全と豊かな供物を願って、洞窟の壁に岩面のでこぼこを利用して巧みに動物を描いた。黒、褐色、白などの彩色もしてある。
 ◆アルタミラの洞窟画 〜 鋭い観察力で牛などの動物の姿を的確に表現。
 ◆ラスコーの洞窟画 〜 馬、牛、鹿などの動きを美しい線で生き生きと力強く表現している。

 Aオリエント・・・(メソポタミア、エジプト、エーゲ海)
 □ メソポタミア・・・鋭い自然観察をもとにして、活気のある力強い表現が多く見られる。
 □ エジプト・・・王の墓や棺などに、永遠を目指し、人物や動物を説明的に描いた。表現の特色として、顔や手などは横向きでも目や胴体は正面を向いているという描き方がされている。

 □ エーゲ海・・・海洋民族らしく、派手で優美な形と明るい色彩が多い。狩りをスポーツとして描いたクレタ壁画の「牛跳び」が有名である。

U.ギリシア,ローマ

 □ ギリシア時代・・・人間の理想的な姿を描こうとした時代であるが、絵画は残っていないため陶器からの絵画から想像する次第である。
 ●特色・・・自由な主題をのびのびとした線でしっかりと描写し、陰影による立体感も現した写実的表現であった。

 □ ローマ時代・・・ギリシアの絵画を手本としていた。ポンペイやスタビアエで壁画(フレスコ画)が発見されている。
 ●特色・・・美しく優美に、ありのままを自然に表現している。色彩も美しい。

V.初期キリスト教,ビザンチン

 □ 初期キリスト教・・・キリスト教が迫害された時代で、壁や天井にキリスを象徴する絵が描かれた。
 ●カタコンベの聖壁画 ー 弾圧されたキリスト教徒は、カタコンベと呼ばれる地下の墓地の長い坑道になっているところで集会を続け、壁画や天井画を通して深い信仰を表現している。
 ●ビザンチン − 大理石や色ガラスの小片を、塗りたての壁画に押し込んで絵をつくるモザイク画が頂点を極めた。この独特な表現で、キリストや聖母マリアなどの神秘性と荘厳さを高めている。

W.ロマネスク,ゴシック

 □ ロマネスク・・・青銅の広い壁面に、フレスコ画でキリスト絵の深い信仰を示す重厚な表現を用いて聖画を描いた。

 □ ゴシックの絵画・・・ゴシック建築の聖堂は窓が大きくなるという特色をもち、聖画に変わってステンドグラス(色ガラスを鉛の棒でつないで絵を作ったもの)が多くなった。

X.ルネサンス

 ●特色・・・人間が人間であることに目覚めた中で、絵画表現は写実的になり目覚しい発展をこの時代に遂げることになる。また、絵画の主題を広く求めることでローマやギリシアに題材を拡大し、人々の姿を自然で自由に表現しようとした。
 □ ルネサンス初期
   ◆ジォット・・・<作品;聖フランチェスコ> 彼の出現により、ルネサンス絵画が始まる。
  ◆マサッチオ・・・<作品;聖母子> 遠近法を用いることで、近代絵画の道を開いた。
  ◆フラ=アンゼリコ・・・<作品;受胎告知> 遠近法や立体表現を用いて、敬虔に満ち溢れた宗教画を描いた。
  ◆ボッティチェルリ・・・<作品;ビーナスの誕生> 詩人の作家。詩情にあふれ、柔らかな線と色彩で描かれている。

 □ 全盛期のイタリア・ルネサンス
 ●特色・・・作家たちは、調和のとれた写実表現に力をそそぎ、中世美術から大きく転換した。
  ◆レオナルド・ダ・ヴィンチ・・・<作品;最後の晩餐・モナ=リザ> 絵画・彫刻の他に建築や物理学にも優れ、後世に多くの影響を与えた。また、絵画では遠近法の描画を完成させる(線遠近法・空気遠近法・色彩遠近法)など多くの資料を残している。
   ◆ミケランジェロ・・・<作品;最後の審判・天地創造> 絵画・彫刻・建築に優れた。彫刻ではイタリアにある「ダビデ像」が有名。
  ◆ラファエロ・・・<作品;ひわの聖母・美しい女庭師> 「調和の天才」とうたわれた。安定のある構成と、甘美な詩情が作品に漂う。若くして亡くなったが、その技術は弟子によって伝えられていく。
  ⇒以上の三人のことを、ルネサンスの「三大巨匠」という。

 □ 北欧ルネサンス
 ●特色・・・ファン=アイク兄弟によって絵の具が改良されて丈夫で精密な技法が可能になった。また宗教色が少なく、人々の生活や風景・風俗習慣を詳しく観察して現実に根ざした写実表現をした。
 ◆ヤン=ファン=エイク・・・<ジョバン=アルノーニ夫妻> 結婚の承認者として描いた絵。精密な表現で、細かい部分もしっかりと妥協なく描いている濃厚な作品。
 ◆ブリューゲル・・・<狩人の帰還> 農民を多く描いた。人々の様子を徹底して追い、細かな部分も気を抜かずに描いているが6、情緒ある作品として仕上げている。

Y.バロック,ロココ

 □ バロック・・・スペイン宮廷を中心に、強い色彩と誇張された動きのある表現が特色。フランドル地方では、庶民の生活や静物画、風景画などが数多く描かれた。
 ◆ベラスケス・・・<作品;宮廷の侍女たち>宮廷画家として有名である。豊かで美しい色彩と明暗を用いた画法である。
 ◆レンブラント・・・<作品;夜警>光の画家として名をもつ。肖像画を通して、絵画表現の本質を追及した。光と影の表現が観るものに感動を与えてくれる。
 □ ロココ・・・フランス宮廷を中心に優美で華やかな表現が盛んになる。
 ◆ヴァトー・・・<作品;シテール島の巡礼>柔らかな色彩でみやびやかな情景を美しく描いた。
 ◆ゴヤ・・・<作品;裸のマハ・着衣のマハ>宮廷画家でもあったが、鋭い風刺で当時の風俗を描いた。

Y.古典派とロマン派

 ●特色・・・近代絵画の道を開いた。古典派(ダビットやアングル)が古代に憧れ理想の美を追求したのに対し、ロマン派(ジェリコーやドラクロア)は色彩を効果的に使い劇的な情景を主題に表現し、古典派と発展のための対立をした。
 ◆ダビット・・・<作品;皇帝ナポレオン一世とジョゼフィーヌの戴冠>
 ◆アングル・・・<作品;オダリスク・泉>
 ◆ジェリコー・・・<作品;メデュース号の筏>難破した成員の漂流中の事件をもとに描く。彼の激しい動きを描写する表現力は、多くの画家たちに影響を与えた。
 ◆ドラクロア・・・<作品;市民を率いる自由の女神>ルーベンスに傾倒した画風である。彼は意識的に補色を使い、強烈な色彩効果を出した。

Y.印象派

 ●特色・・・印象派を生み出す背景には、自然派や写実派など多くの画家たちの制作活動があった。

 □ イギリスの風景画・・・幻想的な風景画
 ◆ターナー・・・<作品;雨、蒸気、速力>光と色彩の動きをとらえた幻想的な表現力は多くの画家に影響を与えた。

 □ 自然派・・・鋭い観察力で、自然の風物を詩的に表現。
 ◆コロー・・・<作品;モントフォンテーヌの思い出>独特な色合いで風景を描いた。詩の中の世界観が感じられる作品である。
 ◆ミレー・・・<作品;落穂拾い>バルビゾン派。自然とその中で生活する農民を主題として描き続けた。作品には暖かい雰囲気が漂っている。

 □ 写実派・・・ありのままの真実を表現する事を追究。
 ◆クールベ・・・<作品;画家のアトリエ>フランスの画家で、素晴らしい写実性で対象の物を追及して描いている。

 □ 印象派・・・目に映る色彩そのものを絵に表現。
◆マネ・・・<作品;草上の昼食>印象派の中心的な存在。明るい色調がある。
 ◆モネ・・・<作品;印象・日の出、すいれん>色を並べて置き、光と色の微妙な変化を再現した。
 ◆ドガ・・・<作品;バレリーナ>踊り子を多く描き、油絵だけでなくパステルを多く用いて色彩を軽やかに表現した。
 ◆ルノアール・・・<作品;ムーラン・ド・ラ・ガレットの舞踏会>明るい色彩でパリの風物を描いた。木漏れ日が生き生きと表現されている。

 □ 新印象派・・・印象派の色彩表現を一歩進めて、色彩科学を研究し独特な点描が方を生み出した。
 ◆スーラ・・・<作品;グランド・ジャット島の日曜日の午後>色彩の対比、分割など論理的に研究して点描画法を創始した。
 ◆シニャック・・・<作品;赤い浮標>点描を生かし、鮮やかで美しいのが特徴である。

Y.後期印象派

 ●特色・・・印象派の描き方から脱した3人の画法は、それぞれ個性に満ちた表現を強く打ち出した。これらの作品はまた、20世紀の絵画の誕生に大きな影響を与えた。
 ◆セザンヌ・・・<作品;青い花瓶、サント・ビクトワール山>画面構成を重視し、対照にする自然の姿を円柱、球、円錐などの基本形にまとめ、画面上に再構成する態度で制作した。
 ◆ゴーギャン・・・<作品;タヒチの女>色彩の配置に重点を置く一方、平面的表現に独自の道を開く。タヒチの素朴で明快な風土の中で、単純化した色彩と形状を持つ画風を完成させた。
 ◆ゴッホ・・・<作品;ひまわり、自画像、麦畑>「炎の人」と呼ばれる。オランダ時代は暗い色調であったが、パリに出て印象派に触れてから明るくたくましい色彩と強い筆使いで新しい情熱的な画風を開く。日本の浮世絵に影響を受けた。また、画面から陰を取り去り、ものそのものを描く彼自身の美術を作り出した。

Y.現代の絵画

 ●特色・・・20世紀に入ると、様式の時代は去り、画家の主義主張で多くの表現が試みられ、多数の流派が生まれた。

 □ フォービズム(野獣派)・・・単純化した形と原色をつかい、絵画の常識に挑戦した。激しい表現は、当時の人々を驚かせた。
 ◆マティス・・・<作品;大きな赤い室内>形を極限まで単純化し、形と色の追求をした。
 ◆ルオー・・・<作品;裁判所のキリスト>現代最大の宗教画家。強い色彩と黒い輪郭が特徴。

 □ キュビズム(立体派)・・・物を前や横からから見て、これを分解し一つの画面に再構成して表現した。
 ◆ピカソ・・・<作品;ゲルニカ>キュビズムの創始者。彼の表現は、観る人に強烈な印象を与え続けている。

 □ エコール・ド・パリ・・・パリに集まる画家達が集まって、流派や主張に関わりなく自分達の絵を表現した。
 ◆ユトリロ・・・<作品;コタンの袋小路>詩情豊かな天分に恵まれた画家。独特な表現がある。
 ◆藤田嗣治・・・<作品;猫、女>日本画の繊細な描画を活用し、情緒ある画風で描いた。
 ◆モディリアニ・・・<作品;おさげの少女>明快なデフォルメで特有の画面を作る。首が長く、流れるような線の女性が多い。

 □ シュール・レアリズム(超現実主義)・・・人の心の奥深くに潜む意識や、現実をはるかに越えたもの、空想などを描いた。彼の発想と表現力で描かれた絵は、観る人を魅了する。
 ◆ダリ・・・<作品;燃えるキリン>非現実的な物を絶対的な表現力で現実にある物のように表現。その技法は大変巧みなものである。
 ◆シャガール・・・<作品;エッフェル塔の結婚式>夢多い幻想的な世界を描く。色彩にも繊細さが見られる。
 ◆マグリット・・・<作品;記憶、精神の自由>人を引きつけるような独自な発想を、素晴らしい技術で画面に表現。幻想的な中に現実性が浮かぶ不思議な世界観がある。
 □ 表現派・・・心の内側や、不安や恐れなどの感情を劇的に表現した。
 ◆ムンク・・・<作品;叫び、思春期>強烈な色彩表現で、不安や恐れを鮮やかに描きだした。見たらなかなか忘れない、強さを持つ画風である。
 ◆カンディンスキー・・・<作品;3つの斑点のある絵画>音楽と同じく、心の感動を表現することを主張。抽象画家の先駆者となる。
 □ 抽象派・・・対象を直線的につかみ、想像力を働かせて形や色を組み直して表現することで、絵画としての要素を選び出して描くためデザイン的、模様的になる。
 ◆モンドリアン・・・<作品;赤い木、青と黒のコンポジション>水平、垂直の線と共に、黒・白・灰色と三原色で画面を作った。


 
参考文献

  西洋美術史

  西洋における絵画技法

  LE LOUVRE (ルーブル美術館で購入した本 )

  オルセー美術館   (オルセー美術館で購入した本)

  ニューコース中学美術 株式会社学習研究社 

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