1998年GPS観測
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 共通項目:
・GPS可降水量は,30分毎に見積もった(群馬大学・沼田・倉渕・木崎).
・気圧と気温は群馬大学(GUNU)の測定値を用いた.沼田・倉渕・木崎については,静力学平衡を仮定して気圧を推定し,-6.0℃/kmの減率を使って気温を推定している.
・TmはBevis (1992)の式を用いた. ・マイクロ放射計可降水量は,ゾンデ可降水量を用いてキャリブレーションを行った.
・凝結水量0.01cm未満の事例について,30分間平均したマイクロ放射計可降水量を用いた.

◎GPS可降水量の時間変化
 群馬大学(GUNU/140m)・沼田(NUMA/446m)・倉渕(KURA/406m)・木崎(KIZA/48m)のGPS可降水量の時間変化を図1に示す.1998年7-8月は,曇天続きのため,局地循環は発達した期間は少なく,1997年のように可降水量の日変化は殆ど見られない.
図1


◎GPS可降水量(PWGPS)とマイクロ波放射計可降水量(PWMWR)の比較

 水蒸気の非一様性の影響を受けないマイクロ波放射計可降水量(PWMWR)を真値と見なして,GPS可降水量(PWGPS)と比較をする.
 PWGPSとPWMWRを比較すると,0.991の相関係数と1.30mmのRMSが得られた(図2).局地循環が卓越した97年に比べると(R=0.975,RMS=1.90),相関係数・RMSともに向上している.しかし,97年と同様に,全体的にGPS可降水量が低く見積もられており,特に,可降水量は50mmを越えるとGPS可降水量が過小評価になる傾向が見られる.
 1997年の観測では,GPS可降水量には日変化するバイアス(DPW=PWGPS-PWMWR)が認められたが,今年は,日変化するバイアスは認められなかった(図3).
図2 図3


◎可降水量の水平非一様性とDPW
 GPS可降水量を求める際に,水平方向には水蒸気が一様に分布していることを仮定している.水蒸気の非一様性が,GPS可降水量の誤差要因になる可能性がある.特に,局地循環に伴い水蒸気の非一様性が強まると考えられるため,事例解析を行うに先立ち,水平非一様性とDPWの関係を調べる必要がある.
 水平非一様性を評価するために,群馬大学(GUNU)を囲むように配置された沼田(NUMA)・倉渕(KURA)・木崎(KIZA)のGPS可降水量を用いる.しかし,3地点については400m以上の標高差があるためにGPS可降水量の勾配は使えないので,各地点での可降水量の偏差の勾配を用いた.そして,可降水量の偏差(PW')の水平分布が平面の式(PW'=PWX*X+PWY*Y+Const)で近似できると仮定して,東-西方向の偏差勾配(PWX)と南-北方向の偏差勾配(PWY)を求め,GUNUにおける水蒸気の非一様性の仕様として用いる.
 しかし,沼田・倉渕・木崎のGPS可降水量自体も,水蒸気の非一様性の影響を受けている筈なので,ここで計算した「可降水量の偏差勾配,PWX・PWY」の解釈は難しい.偏差勾配の勾配かも知れない.

 次の図4は,可降水量の偏差勾配(東西方向:PWX,南北方向PWY),及び,PWGPSとPWMWRの差(DPW)である.「PWY=0.1」は,1km北に向かうにつれて南北方向の偏差が1mm増加することを意味している.
図4
 図4には,偏差勾配とDPWとに相関関係が認められる.DOY=219や226のように数時間で偏差勾配が急激に増加(減少)すると,同じ時間スケールでDPWが減少(増加)していることが多い.また,DOY=215から226の期間のように,数日の時間スケールで偏差勾配が増加(減少)するとDPWは減少(増加)している.特に,PWYとの対応が良いように見える.換言すれば,北や東に向かうにつれて可降水量の偏差勾配が増加すると,(放射計可降水量が正しいならば)GPS可降水量は過小評価される傾向にある.

 図5は,可降水量の偏差勾配の頻度である.南北-東西方向とも偏差=0に極大を持ち,左右対称に近い分布をしている.最大勾配の値は,南北-東西方向とも±0.25mm/km程度であり,30km離れると約8mmの変化に対応する.
 偏差勾配の方向を見ると(図6),南西と北東の方向を示す場合が多い.偏差勾配の方向・強度は,測位精度に直接結びつくため,国土地理院GPSデータを使って,解析を進める必要があろう.

図5 図6

 偏差勾配とDPWの関係を次に示す.図4でも述べたように,偏差勾配とDPWには負の相関が見られるが,相関係数は南北の偏差勾配でも0.342と小さい.そのため,偏差勾配はPWGPSとPWMWRに差が生じる原因の一つではあるが,他の要因が寄与する割合の方が大きいと考えられる.

図7


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