特別支援教育支援員の配置状況

 

 平成20111日に文部科学省から特別支援教育支援員の配置状況及び地方財政措置(平成20年度予定)についてという報告がでました。

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/main/005.htm 

 

 特別支援教育を推進する上で、重要な報告ですが、下記のように、注意して読まなければならない点もあり、記事にしました。良ければご覧下さい。

                  2008.2.5

群馬大学教育学部 久田 信行

 

1. 注意点!

 この調査は平成1971日現在のデータです。

大体、6月に各市町村に特別支援教育支援員の分として幾ら幾らという内訳が届くのだそうです。群馬の例では、それを受けて、市町村で補正予算を組んで対応しましたので、募集は9月ころに行われていました。したがって、71日前にすぐ対応できた市町村と補正を組んで、それよりも後に対応した市町村があるのだと推察されます。

他の県に関して、情報を頂きました。ほぼ、群馬と同じような事情で調査時点での対応は困難だった様子です(「3.ある県の取組」参照)。

増加ゼロなどの県では、県全体で計画・調整していて、対応が遅れたという可能性もあります。

今回のデータは、そのような背景があることを、想像しながらご覧下さい。

 

文部科学省は、 「文部科学省では、この措置を踏まえ、特別支援教育支援員の配置の一層の推進のため「特別支援教育支援員の配置に必要となる経費に係る地方財政措置の予定について(通知)」を各都道府県教育委員会に発出したところです。」と書かれているように、昨年12月に、20年度の対応をして欲しいという文書を配っています。

   来年度は、もっと早く対応していただけると有りがたいですね。

 

2. ローデータだけで比較しにくいので、少しエクセルで比率など計算しました

a. 北海道から沖縄まで、県別の前年度比の増加率、 1校当たりに何人配置されている見当になるかを計算しました(表1

県によってかなり差があります。全国で見ると、今年は数の上では予算に相当する支援員が配置されたようです。

 しかし、従来の介助員等の振替が多く、全体で見ると思ったほど増加していません。

表1 伸び率と充足率を加えた表

県別

活用人数

小中設置学校数

伸び率

充足率

都道府県

H18.5.1

H19.7.1

H19.5.1

前年比増加%

伸び率順位

1校に何人

充足率順位

1

北海道

404

588

2005

46%

8

0.29

37

2

青森県

116

128

549

10%

38

0.23

42

3

岩手県

126

161

623

28%

19

0.26

38

4

宮城県

242

294

680

21%

25

0.43

29

5

秋田県

194

245

417

26%

21

0.59

19

6

山形県

87

115

473

32%

16

0.24

40

7

福島県

181

239

784

32%

17

0.30

35

8

茨城県

373

452

809

21%

26

0.56

21

9

栃木県

513

555

583

8%

44

0.95

9

10

群馬県

344

396

521

15%

32

0.76

14

11

埼玉県

971

1096

1250

13%

34

0.88

12

12

千葉県

762

1,048

1,238

38%

11

0.85

13

13

東京都

2145

2818

1959

31%

18

1.44

2

14

神奈川県

1603

1977

1284

23%

24

1.54

1

15

新潟県

878

959

805

9%

41

1.19

5

16

富山県

40

115

293

188%

1

0.39

31

17

石川県

79

133

339

68%

5

0.39

32

18

福井県

170

197

295

16%

31

0.67

16

19

山梨県

133

146

314

10%

40

0.46

26

20

長野県

299

336

588

12%

36

0.57

20

21

岐阜県

397

647

578

63%

6

1.12

6

22

静岡県

604

729

800

21%

27

0.91

10

23

愛知県

506

712

1398

41%

10

0.51

25

24

三重県

635

760

610

20%

28

1.25

4

25

滋賀県

157

209

336

33%

14

0.62

18

26

京都府

165

331

613

101%

4

0.54

22

27

大阪府

1300

1468

1488

13%

33

0.99

8

28

兵庫県

1421

1597

1176

12%

35

1.36

3

29

奈良県

106

229

326

116%

3

0.70

15

30

和歌山県

91

99

443

9%

43

0.22

44

31

鳥取県

43

51

224

19%

30

0.23

43

32

島根県

207

232

361

12%

37

0.64

17

33

岡山県

473

626

596

32%

15

1.05

7

34

広島県

708

753

843

6%

45

0.89

11

35

山口県

228

283

526

24%

22

0.54

23

36

徳島県

67

159

367

137%

2

0.43

28

37

香川県

54

72

280

33%

13

0.26

39

38

愛媛県

243

257

503

6%

46

0.51

24

39

高知県

36

36

434

0%

47

0.08

46

40

福岡県

350

386

1116

10%

39

0.35

34

41

佐賀県

89

122

290

37%

12

0.42

30

42

長崎県

164

179

598

9%

42

0.30

36

43

熊本県

161

236

637

47%

7

0.37

33

44

大分県

81

103

496

27%

20

0.21

45

45

宮崎県

69

100

417

45%

9

0.24

41

46

鹿児島県

26

31

868

19%

29

0.04

47

47

沖縄県

159

197

437

24%

23

0.45

27

合計

18,200

22,602

32,570

24%

23位相当

0.69

15位相当

 

b.      増加率と配置の充足率を抜き出して、順位で並べました

 群馬県の場合、かろうじて平均的な充足率でしたが、増加率は低い方でした。

 

2 伸び率順位表            表3 充足率(1校当たりの平均配置数)

 

伸び率

 

 

充足率

都道府県

前年比増加%

伸び率順位

 

都道府県

1校に何人

充足率順位

16

富山県

188%

1

 

14

神奈川県

1.54

1

36

徳島県

137%

2

 

13

東京都

1.44

2

29

奈良県

116%

3

 

28

兵庫県

1.36

3

26

京都府

101%

4

 

24

三重県

1.25

4

17

石川県

68%

5

 

15

新潟県

1.19

5

21

岐阜県

63%

6

 

21

岐阜県

1.12

6

43

熊本県

47%

7

 

33

岡山県

1.05

7

1

北海道

46%

8

 

27

大阪府

0.99

8

45

宮崎県

45%

9

 

9

栃木県

0.95

9

23

愛知県

41%

10

 

22

静岡県

0.91

10

12

千葉県

38%

11

 

34

広島県

0.89

11

41

佐賀県

37%

12

 

11

埼玉県

0.88

12

37

香川県

33%

13

 

12

千葉県

0.85

13

25

滋賀県

33%

14

 

10

群馬県

0.76

14

33

岡山県

32%

15

 

29

奈良県

0.70

15

6

山形県

32%

16

 

18

福井県

0.67

16

7

福島県

32%

17

 

32

島根県

0.64

17

13

東京都

31%

18

 

25

滋賀県

0.62

18

3

岩手県

28%

19

 

5

秋田県

0.59

19

44

大分県

27%

20

 

20

長野県

0.57

20

5

秋田県

26%

21

 

8

茨城県

0.56

21

35

山口県

24%

22

 

26

京都府

0.54

22

47

沖縄県

24%

23

 

35

山口県

0.54

23

14

神奈川県

23%

24

 

38

愛媛県

0.51

24

4

宮城県

21%

25

 

23

愛知県

0.51

25

8

茨城県

21%

26

 

19

山梨県

0.46

26

22

静岡県

21%

27

 

47

沖縄県

0.45

27

24

三重県

20%

28

 

36

徳島県

0.43

28

46

鹿児島県

19%

29

 

4

宮城県

0.43

29

31

鳥取県

19%

30

 

41

佐賀県

0.42

30

18

福井県

16%

31

 

16

富山県

0.39

31

10

群馬県

15%

32

 

17

石川県

0.39

32

27

大阪府

13%

33

 

43

熊本県

0.37

33

11

埼玉県

13%

34

 

40

福岡県

0.35

34

28

兵庫県

12%

35

 

7

福島県

0.30

35

20

長野県

12%

36

 

42

長崎県

0.30

36

32

島根県

12%

37

 

1

北海道

0.29

37

2

青森県

10%

38

 

3

岩手県

0.26

38

40

福岡県

10%

39

 

37

香川県

0.26

39

19

山梨県

10%

40

 

6

山形県

0.24

40

15

新潟県

9%

41

 

45

宮崎県

0.24

41

42

長崎県

9%

42

 

2

青森県

0.23

42

30

和歌山県

9%

43

 

31

鳥取県

0.23

43

9

栃木県

8%

44

 

30

和歌山県

0.22

44

34

広島県

6%

45

 

44

大分県

0.21

45

38

愛媛県

6%

46

 

39

高知県

0.08

46

39

高知県

0%

47

 

46

鹿児島県

0.04

47

合計

24%

23位相当

 

合計

0.69

15位相当

 

 

c. 増加率と充足率の関係を見るために散布図にしました(図1)

図1  充足率(縦軸)×伸び率(横軸)における散布図

 19年度の場合、充足率が低い県の増加率が高いという結果です。

 19年度の目安が3校に2人でしたので、計算上は0.67人になります。そのラインより高い多くの県ではさほど増加させていない傾向があります。

 

3.ある県の取組

ある県の取組の状況について、情報を頂きました。県名は書かれていましたが、私の判断で伏せさせて頂きました。(以下引用)

「新たな配置に関しましては、5月中旬に示された費用算定基礎に関する通知を待ってから取組をした市町村ばかりでした。ですから、公表された数値は、この財政措置を活用したものではなく、従来から市町村単独で配置をしていたところの数値ということになります。

 その後、早いところで6月議会、多くは9月議会の補正で予算を確保し、配置は9月あるいは10月以降でした。12月議会の補正で対応したというところもあります。

 それではなぜ、平成19年度の当初予算での対応ができなかったのかということですが、A県内の自治体は財政的にも非常に厳しいところばかりで、費用算定基礎が示されない中では、前年度中に次年度予算の計上には踏み出せなかったという事情があると考えます。

市町村の特別支援教育支援に関わる理解にも温度差があることは否めませんが、その辺りは、県教委としても、教育長会議、学校長会議などで、短期間勝負ではありましたが、周知徹底を図ったところです。現在もそれは続けています。」

(引用終わり)

 

やはり、財政事情が厳しいので、事前に知っていた自治体でも、幾らでやるのか金額が決まってから補正予算で動き出し、7月1日の段階では動けなかった様です。県教委の先生方も頑張っておられるのでしょうが、多くの自治体の理解を得るのには多少の時間がかかりそうです。

 支援員制度が、各校1名の配置で良いのだと誤解されるのも怖いと、データをまとめていて思いました。平成19年度初めの段階で、各校に1.5人以上配置している自治体もある事、特別支援教育のサービスに大きな地域格差があり、そのことは自分の自治体で育つ子どもは、十分な支援を受けていないのだという認識を、住民を含めて、多くの方に理解して頂く必要がありそうです。数値に現れない様々な施策にも目を向けて頂けると、更に良いと思います。

 いろいろな事情の中で、これらの数値が出ている事を是非ご理解頂けたらと思います。

 

4.20年度へ向けて

厳しい財政事情が大きく陰を落としています。

文部科学省も各校1名の支援員で事足りると考えてはいないと思います。厳しい財政事情だが、国の予算で各校に1名ずつ増やして貰って、従来の介助員等の方は、続けて貰いたいというのが、憶測ですが本音だと思います。

20年度措置予定額 約360億円 〔支援員 30,000人相当〕

19年度措置額   約250億円 〔支援員 21,000人相当〕

 平成20年度の予定では、大体1校に一人の特別支援教育支援員の配置を予算化します。

 それを充足するためには、全国で実に43%増加させなければなりません。各地の市町村教育委員会の担当の先生、首長や議会関係者の理解を是非お願いしたいところです。