村・共同体・島の崩壊,そしてNLP問題

村の崩壊 「村を継続したほうがよい」というおそらくほとんどの人がきのうまで疑わなかっただろうお題目がほんとうに(三宅の人にとって)よいことなのでしょうか?わたしには,三宅村を継続させることが(大多数の三宅の人にとって)よいことだと考える理由をみつけることができません.

しかし村を継続しなければならないと考えている一群の人たちがいることは確かです.村が存在すること自体を自分の生活基盤にしている人たちです.村役場職員・村議などです.村立学校教諭は実質的には東京都派遣ですから,ここでは除きます.彼らは,村立学校がなくなっても難なく新しい職場につくことができます.

村役場職員・村議などは村が消滅すると職を失うから,村の継続を目指すはずです.村の世帯の少なくない数が,家族の中にひとりやふたり村役場職員あるいはそれに準ずる勤め人をかかえています.ですから,村の継続を目指す世帯が少なくないことは容易に予想可能です.そしてその世帯集団は,島においてつよい影響力をもつ指導的立場にいただろうことも想像できます.

現時点では,島から出た村人はこれら指導層の影響下にまだあるようにみえます.しかしその影響力と求心力はしだいに衰えています.まず最初に目に見えるかたちでそれが露呈しているのが,秋川寮制学校です.

指導層の影響力が人心をとらえることができなくなるときがまもなく来ると思います.そのとき村という自治体は,坂道を転がり落ちるようにあっという間に崩壊するだろうと私は予測します.

共同体の崩壊 上では,自治体としての村を議論しました.これとは別に,共同体としての村があります.秋川寮制学校問題や義援金問題で村人の間に亀裂が走り,しこりが残り始めています.共同体も崩壊するのではないかと私は心配しています.

自治体としての村がなくなることはもう避けられないと思いますが,共同体の崩壊はいまなら防ぐことができると思います.高い見識を持つリーダーがよい方向へ指導すれば,いまなら間に合うでしょう.村の崩壊の危機感を私が9月に訴えたときと同じ状況が,共同体の崩壊危険について,いまです.いまなら間に合います.修復できます.しかし9月と同じように村人が今回も沈黙を守り続けると,共同体までも崩壊するでしょう.

島の崩壊 火山でできた島が数千年に一度大きく崩壊する性質をごくふつうにもっていることは,地質学者が20世紀第四四半期に明らかにした事実です.伊豆諸島では,伊豆大島が1400年前に,青ヶ島が2400年前に,そして三宅島が3000年前に崩壊しました.この地学現象が起こった場合,何がどうなるか,地質学者のいまの理解はまだ不十分です.しかし,すくなくとも三宅島内は文字通り壊滅状態になり(ただし島が全部海中に没することは考えられない),南関東の海岸に津波が押し寄せることが明らかです.

つくば市で開かれている地震学会で「三宅島雄山の仮想山体崩壊による津波シミュレーション」という学術報告が本日11.22午後あります.

NLP問題 三宅の将来を語るとき,NLP(米軍による夜間離発着訓練場)の建設問題を避けて通ることはできません.三宅でこの問題は前回の噴火1983年の直後に浮上しました.2000年噴火後,いままでこの話題はタブーとされてきました.公開の場で議論されたことはほとんどありません.2000年噴火をきっかけに三宅のことに深くかかわるようになった方々の中にも,NLPって何?とまったく知らない方がいらっしゃることでしょう.

村の崩壊が決定的になり,共同体までも崩壊しようとしているいま,逆に,この問題を三宅の起死回生の切り札と使う政治力が期待されます.いまの三宅を救う方策は,もうこれによる「奇襲作戦」しかないでしょう.

私はこの問題に関してまったく部外者であり,情報ももっていません.しかし NLP問題がいま目の前に立ちはだかる難題解決の切り札だろうという直感だけはつよくもちます.そして,その交渉のテーブルにつくのは早ければ早いほど村人に有利だろうと,火山学者の直感で思います.

早川由紀夫 2000.11.22 

 カウンタ設置2001.1.13.1015