二酸化硫黄ガス放出量の変化をどうみるか?

土曜日深夜にNHK教育テレビ「サイエンスアイ」で放送された三宅島二酸化硫黄ガスの放出量グラフ(図1)は,下記の2点でたいへんミスリーディングなものだったと思います.

  1. 観測量の最大値をつないだ折れ線グラフとした.このため,観測数が多かった昨年分のデータを過大評価してしまっている.平均値によるグラフを作成すべきだった.
  2. 気象庁(図2)が「過大評価となっている可能性が高い」と明記している11月16日データ(8万トン/日を超える)を使用して,これまでの観測最大値とした.

このような難点のあるグラフから得た解釈「昨年度の3分の1以下に減っている」は,正しくないと私は考えます.「昨年とくらべて2分の1程度に減っている」というのなら納得です.

ただし2分の1に減った6月以降,さらに減ることはなく横ばいが続いていることにも注目すべきです.番組中で風早さんが説明したように,この横ばいは,マグマからガスがぜんぶ抜けきるまで続くかもしれません.それは10年単位である可能性があります.

あと数ヶ月で火山ガスの苦難から開放されると期待することは自由ですが,また裏切られるかもしれないことを覚悟しておいてください.

図1 2001.9.22.2330NHK教育「サイエンスアイ」で放送された二酸化硫黄ガス放出量グラフ

図2 気象庁2001.9.21発表の二酸化硫黄ガス放出量グラフ


山口勝「これはすっとお答えになれるかどうかわかりませんけど,長期的に見た場合
に三宅島に人が戻れるようになる,前のような環境までガスの放出が減る,というのは
いつ頃だというふうに考えられますか?」

渡辺秀文「そうですね.当初は,実際に住民の方があそこで生活できるようになるま
でには,悪くすると数年以上かかるのではないかと思っていたわけなんですが」

山口勝「去年の秋ころの判断としては,ですね.」

渡辺秀文「今年の6月以降かなりガスの放出が減ってきたというなことがありました
ので,今後とくに地下水の回復などによって,ガスが地表に出てこなくなるというこ
とも期待できますので,場合によっては,もうすこし早い時期に戻れるようになるの
ではないかと思います.
 ただ,いずれにしましても現在でもまだかなり多いわけですから,今後数ヶ月単位
でガスの放出あるいは活動の様子を詳細に見ていく必要があると思っています.」

(2001.9.22.2359NHK教育テレビ)