From: "Takehiro Koyaguchi" To: Subject: 質問 Date: Fri, 11 Aug 2000 08:41:34 +0900 早川様, 元気ですか? ちょっと,昨日の噴火に関する君の意見で確認したいことが あるのでメールを出しました. 実は,昨日の噴火で噴煙の高さが3000mに達したことに,私はびっくり しました.煙の高さと熱エネルギーの開放率の関係は4乗の関係に あるので,7月14,15日の噴煙に比べると,昨日の噴火は2の4乗 つまり16倍の強度があったことになります.君の昨日,今日の Webの内容や噴火予知連の見解でも,強度が強かったということに 関するアナウンスはありますが,それが16倍も大きいというニュアンス は伝わってきません.あの程度の噴火だと,大気の安定性などの誤差を 結構含むのですが,噴煙の高さが2倍になったということで, 強度も2倍程度だろうと考えるよりは,10倍かそれ以上の強度があった と考える方が理にかなっていると思います. まずは,私の16倍という見積もりについてどう考えるか意見をください. 降灰量がそれほど増えていないのに,強度だけが10倍以上増加した ことについて,私は,構成物質(火砕物と岩片)の平均温度がかなり 上昇した,つまりマグマの関与が先月の噴火に比べて相対的に多か ったのではないかという印象を持ちました.そのような場合,低温状態で 大気より高密度の状態を保つのが困難なので,サージはかなり 高温になるはずです(現段階で定量的な見積もりは難しいが). 君の30度という見積もりの根拠を教えてください. 今回の三宅,および伊豆諸島で起こっていること全般は,あの大規模陥没 以来,未知の領域に入ってしまって,今後の噴火推移を 過去の三宅での記録に頼って予測することが極端に難しくなったように 思えます.推移予測が難しいと思う理由は,もう一つあります. 今回の活動では,大局的には大量のマグマが多分西方に移動してしまった のでしょうが,昨日の噴火は三宅の下にまだ,少なくとも本質物質の噴出率 に換算して10t/sのオーダーの噴火を引き起こすだけのマグマが残っていた ことを意味しています.残っているマグマの量は今回の活動に関与した マグマの総量に比べれば,微々たるものでしょうが,今回の活動に関与した マグマの総量が数億tのオーダーであったすれば,仮に1割残っていたとして かなりの量になります.残っているマグマの量を精度よく見積もる 手段がない以上,今後,昨日程度の規模や強度,あるいはその10倍程度 強度をもつ噴火が起こらないということを科学的に証明することが出来る とは思えない,というのが私が予測が難しいという感じる理由です. 昨日の10倍といえば,もう立派なsub-plinianです.噴火モデルの観点からは 深い陥没地形の底で小規模のsub-plinian起こった場合,噴煙に空気を取り こみにくいので,小規模な火砕流を形成しやすい傾向があります. 実はサージの温度の件は,このこともあって気になっているのです. 確率は低いのだろうが,それを否定できる材料が見つからないので 気にしています. 何か,君の方で判断材料があるようでしたら,教えてください. それじゃ,また. 小屋口剛博 PS このメールは,同業者のscientificな会話のつもりで送っていますが, 君のWeb上で公開するかどうかについては君の判断に一任します.