三宅島-神津島2000年地変のわかりやすい解説

今回の三宅島-神津島の地変を,一般の方にわかりやすく整理すると,次のようになります.(ちばさん掲示板への書き込み1836に加筆しました)

8日夕刻に地下深いところに落ちていった物質の量は,26日に上昇してきたマグマの量とほぼ同じか,その数倍程度だろう(前回,前々回の噴火の分も今回の落下で帳消しにした可能性がある).

ということから,三宅島とその直下はいま,たいへんスッキリした状態だと思われます.便秘が解消したときのように.

もうとうぶん(〜20年),三宅島は噴火しないでしょう.
ただし,他の火山の噴火への警戒と,地震への警戒は必要です.


三宅島-神津島2000年ファクト


以下は,ジャーナリストと火山専門家向けです.

雄山陥没と同様の事件は,1986年11月伊豆大島噴火の一年後の1987年11月18日早朝に起きた三原山縦穴火口陥没をあげることができます.そのときは,縦穴火口内に一年間滞留した1500万トンのマグマが地下に戻っていきました.ただし戻っていったのは一年前のマグマだけで,三原山の一部が陥没するという現象は起こりませんでした.出現した縦穴火口は,1986年噴火前のそれとそっくりだった.

世界に目を移すと,1968年6月にガラパゴスのフェルナンディア島で起こった山頂カルデラ床の陥没を思い出します.このときは,約30億トンの岩石が陥没しました.今回の三宅島の15倍です.カルデラ床に新しい溶岩は現れませんでした.陥没の前の月,5月に山腹に流れた溶岩と,6月11日から12日にかけての降下火山灰を全部足しても,陥没量の1/10程度らしい.つまりカルデラ床が,地下に用意された(仮想)空間に落ち込んだ,すなわち新しくできたへこんだ空間は爆発飛散して生じたのではなく,たしかに陥没によってつくられたと結論されています.
Simkin T. and Howard K. A. (1970) Caldera collapse in the Galapagos Islands, 1968. Science, 169 (3944), 429-437.

早川由紀夫
2000.7.10.0920