浅間山のフィールドガイド(簡略版)

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浅間火山は,黒斑山(くろふやま)・仏岩(ほとけいわ)・前掛山(まえかけやま)からなる三重式火山である.黒斑山は安山岩からなり,末期にデイサイト軽石を何回か噴出した.仏岩はデイサイト溶岩と軽石からなる.前掛山は安山岩の火山錐である.

観察地点位置図

地点1 馬取(まとり) ここから浅間火山の全貌を見ることができる.

地点2 上発地(かみほっち) 道路脇で,プリニー式噴火によって降下堆積した3枚の軽石層(上からYP, BP2, BP0)をみることができる.BP0軽石の5cm下にピンク色をした姶良丹沢火山灰(厚さ8cm)がある.

地点3 杉瓜 道路脇の露頭あるいは発地川左岸もよいが,たんぼの中を400m上流に進むと右岸に塚原岩なだれ堆積物のよい断面がある.

地点4 平原 堆積物の上面が平坦かつ水平であることと,上方へ抜けたガスの通り道である砂礫パイプが断面に認められることは,この平原火砕流堆積物をつくった流れがガスによって流動化して,降伏強度がほとんどゼロであったことのよい証拠である.ただし火砕流堆積物の最上部はラハールによって浸食されて失われている.

地点21 塚原 2万4300年前に黒斑山が東へ大崩壊して発生した塚原岩なだれの流れ山の上に赤いアグルチネート岩塊がのっている.

地点22 万山望下 前掛山の降下軽石が露出している.ただし1783年軽石は人為によってほとんど取り除かれてしまった.

地点5 峰ノ茶屋 1783年噴火で堆積したプリニー式降下軽石Aを浅間火山観測所構内で見ることができる.シルト粒子をまったく含んでいないことが,火口から100km以内のプリニー式噴火堆積物の特徴である.少し掘り下げれば,Bスコリアも観察できる.

地点6 白糸の滝 峰ノ茶屋の東2.7kmに白糸の滝がある.厚い白色軽石層とその下の湖成粘土層の境界から幾条もの水が流れ落ちている.この白色軽石はちょうど2万年前に小浅間の位置から噴火した白糸軽石である.

地点7 黒豆河原 駐車場でず地形をまず観察しよう.左から,小浅間溶岩ドーム,仏岩,前掛山,鬼押出し溶岩(1783年),上の舞台溶岩(1108年),下の舞台溶岩(4世紀?),四阿山,草津白根山である.吾妻火砕流堆積物の南東縁にあたるガリーの中へ下りて,溶結した断面をみる.

地点8 鬼押出し 鬼押出し溶岩の表面には溶岩塊ばかりが見えるが,流下しているときには内部に連続した高温溶融体(central pasty layer) があったにちがいない.表層の溶岩塊を取り除けば,それが冷却固化した緻密な岩体を見ることができるはずである.長野原町営火山博物館がある.

地点9 プリンスランド 長径30mにも達する巨大岩塊が地表に多数散在している.鎌原熱雲の発生と同時に空中へ投出された岩塊が,岩なだれに飲み込まれてここまで運ばれてきた.岩塊の表面には流理構造がみられ,流理にそって剥離が生じている.

地点23 六里ヶ原 道路脇に,1783年8月5日に噴火した鎌原熱雲のブロックがある.

地点10 赤川の土取り場 鎌原岩なだれ堆積物の断面にパッチワーク構造が認められる.この地点は,鎌原岩なだれの東縁にあたり,露頭の背後でこの岩なだれがつくった自然堤防をみることができる.東側に広がるキャベツ畑は平原火砕流堆積物がつくった平坦面であり,赤川が削った谷との間にある比高10mの尾根がその自然堤防である.

地点24 鎌原(かんばら) 平原火砕流堆積物の上にレスを挟まないで嬬恋軽石がのっている.

地点11 鎌原観音堂 鎌原村の住人のうち,約50段の石段を駆け上がって観音堂に逃れた93人だけが助かり,463人が岩なだれにのみこまれた.資料館がある.

地点25 応桑 塚原岩なだれの堆積面に多数の流れ山がみえる.

地点26 浅間大滝駐車場 塚原岩なだれを直接覆うBP2軽石が観察できる.平原火砕流堆積物の二次爆発によってつくられたよく成層した降下火山灰が嬬恋軽石の上下にある.地震動によって層理が乱されている.

地点27 片蓋川 B降下スコリア上部が追分火砕流堆積物をレスを挟まないで直接覆っている.

文献
早川由紀夫(1995)浅間火山の地質見学案内.地学雑誌,104,561-571.
田村知栄子・早川由紀夫(1995)浅間山の天明三年噴火史料の火山学的解釈.地学雑誌,104,843-864.